配線図問題は基本形を覚えることが基本です。今回は電柱など系統から受電する部分について勉強します。
主に「単相3線式(100/200)」、「単相3線式(100/200)と三相3線式(200V)」、「電気温水器
(深夜電力利用)単相2線式200V」などの3パターンが出題されます。
第二種電気工事士試験(配線図):受電点周辺で使用されるシンボル
では、受電点付近で必ず使用される、主な図記号をまとめてみます。必ずパターンとして覚えておきましょう。
まずは受電点(引込周辺)のイメージを見ていきます。
深夜電力を利用した電気温水器が出題されるパターン
下の図をご確認ください。平成27年度下期の配線図からの出題ですが、左上に「電気温水器(深夜電力利用)」とあります。
深夜電力を利用した電気温水器設置パターンで使用する図記号(シンボル)
深夜電力を利用した電気温水器設置パターンのメカニズム
日中の受電状態
では、まずは下記の「日中の受電状態」を見ていきます。日中は赤線の経路をたどります。
日中は右の電力量計をとおり、構内へ電源を供給します。これは一般的です。
夜間の受電状態
次に夜間の受電状態を確認します。先ほどの「日中の受電状態」に加え、今度は左へも供給されています。
これは「TS:タイムスイッチ」がありますので、日中の電力料金より安価な夜間電力の従量料金になる時間に設定し、夜間電力料金になる時間以降に「TS:タイムスイッチ」がONになるようにします。
電力会社及び契約内容によりますが、概ね22:00以降に夜間電力単価になります。
この場合、22:00にタイムスイッチがONになり、その安い夜間電力単価で電気温水器を稼働させて、大量のお湯を作ります。
そのお湯を日中に循環させて昼間の電力を抑える、いわゆるピークシフトが可能になります。
※もちろん、22:00以降も構内への電力供給もできます。
本題に戻りますが「TS:タイムスイッチ」「Wh:電力量計」「BE:過負荷保護付き漏電遮断器」「H:電気温水器」「接地」はセットで覚えましょう。
それぞれの設置する意味を説明します。
「TS」:先ほどの説明通り、日中の高い電力単価時間帯を避け、安価な夜間使用電力を使用するため、タイムスイッチで時間設定をしておきます。
「Wh」:夜間使用電力をどれくらい使用したかを計測します。
「BE」:過負荷保護付き漏電遮断器ですが漏電による感電防止で設置します。
「H」:電気温水器は夜間の安い電力単価でお湯を大量に作りためておきます。そのお湯を日中に使用することで、日中の高い電力単価でお湯を作らないで済みます。結果、コスト削減になります。
「接地」:筐体(外箱)は当然、金属です。漏電による感電防止でD種接地工事を行います。(単相200Vなので使用電圧300V以下)
単相3線式・三相3線式受電が出題されるパターン
次は一般的なパターンです。
単相3線式・三相3線式など設置パターンで使用する図記号(シンボル)
第二種電気工事士試験(配線図):引込線取付点の地表上の高さ
配線図問題で繰り返し出題される「引込線取付点の地表上高さの最低値」について勉強します。
引込配線の種類
電柱から架空線で構内に電線を引込みます。その配線は通常の電線ではなく、引込用ビニル絶縁電線(DV線)が使用されます。
引込線を引き留める器具
引込線はDV線という「引込用ビニル絶縁電線」です。これを直接、壁に固定はできません。
以下のような碍子(がいし)等でできた「平形がいし」を使用します。覚えておきましょう。
引込線取付高さの最低値
架空引込線と引込線取付点の高さ
引込線取付点の地表上の高さは、原則、4m以上です。 赤線部のHが4mとなります。
しかし、技術上やむを得ない場合で、交通に支障がないときには2.5m以上とすることができます。
本来は人間が触って事故に至らないように高い方が良いわけです。しかし、上記、条件の場合に限り、赤線部が2.5mまで緩和されるわけです。
はい、これ大事!
・引込線取付点の高さは原則4m以上!
・技術上やむを得ない場合で交通支障がないときは
2.5m以上とすることができます。
ちなみに、架空電線路の支持物から需要家の引込線取付点まで、架空引込線はケーブルを使用する場合を除いて、直径2.6mm以上(径間15m以下の場合については直径2mm以上)の硬銅線を使用します。
引込口配線と引込口
引込口配線は屋側(おくそく)電線路ともいいます。
建物が木造住宅の場合には、引込口配線で施工できる工事は限定されます。
がいし引き工事、合成樹脂管工事、ケーブルエ事(金属外装のケーブルを除く)の、いずれかになります。
木造住宅の場合、金属管工事を施工すると、漏電から火事に至るケースが懸念されるため、通常、金属管工事は施工しません。
絶縁措置を講じるなどの対処をすれば施工できますが、電工2種の学習では「木造→金属管工事×」で覚えておいてもよいでしょう。
上の特記事項が書いてある時点で、「おっ、金属管は×だな」と思って間違いなしです!
第二種電気工事士学科試験の過去問(配線図):受電点・引込口付近に関する問題
さあ、では、受電点に関する問題を見ていきましょう。
第二種電気工事士(配線図)出題例:受電点図記号問題
解説はこちらから!
⑨は受電点の図記号です。必ず覚えましょう。
第二種電気工事士(配線図)出題例:DV線の引き留め器具
解説はこちらから!
この問いでは、DV線、つまり、「引込用ビニル絶縁電線」を引き留める器具を選ぶ問題です。
イ:この写真は、がいし引き工事で使用するノップがいしで誤りになります。
ロ:ロの写真は、ネオン管の支持に使用するチューブサポートで誤りとなります。
ハ:DV線を引き留めるために使用するの平形がいしです。ハの写真は平形がいしになります。正しい解答です。
ニ:電柱の引留めに使用する「玉がいし」であり、誤りになります。
⑪で示す部分でDV線を引き留める場合に使用するのはハの平形がいしである。 なお, イはがいし引き工事で電線の支持に用いるノッブがいし,ロはネオン放電管の支持に用いるチューブサポート, 二は電柱の引留め箇所など支線の絶縁に用いる玉がいしである.
第二種電気工事士(配線図)出題例:木造住宅の壁に施工できる工事
解説はこちらから!
赤線部をみてみましょう。この配線図問題は「木造住宅」であることを示しています。
では解いてみましょう。
建物が木造住宅の場合に施工できる工事は
①がいし引き工事
②合成樹脂管工事
③ケーブルエ事(金属外装のケーブルを除く)
木造住宅の場合、漏電から火事に至るため、通常、金属管工事は施工しません。
イ、ロ、ハ、ニのうち金属でないものはロのケーブル工事です。よく覚えておきましょう。
第二種電気工事士(配線図)出題例:引込線取付点の地表上高さの最低値
解説はこちらから!
よく出題されるため、ここで覚えてしまいましょう。
下の赤線部を確認しましょう。
赤線部の記載の通り、「引込線は道路を横断せず、技術上やむを得ない場合で、交通に支障がないものとする」という条件付きです。
よって、この問題のケースでは、引込線取付点の地表上の高さを、2.5m以上まで下げることができます。
配線図(受電点に関する問題)まとめ
受電点周辺の問題で重要なのは以下になります。
- 受電点周辺でしようされる図記号
- 引き留め器具
- 引込線取付点の地表上高さの最低値
- 木造の外壁に施工できる工事
これらは、必ず解答できるように勉強しておきましょう。
本項は以上になります。