施工管理技士の受検申込が続々と始まる季節になりました。1年って早いですね。
昨年度、1級電気工事施工管理技士で個別指導した生徒さんは、運にも恵まれて、8人全員が合格できました。
他の施工管理技士試験と比較し、1級電気工事施工管理技士は例年に近い試験内容でした。その辺の記事も後日アップしていきたいと思います。
今回は1級電気工事施工管理技士検定について書いていきます。
1級電気工事施工管理技術検定新制度について
令和3年度制度改正内容
令和3年度から新制度に移行したわけですが、これまで「学科試験」「実地試験」と呼んでいたものが、「一次検定」「二次検定」になりました。
もちろん、名称が変わっただけではありません。
旧制度では「学科試験」と「実地試験」の両方に合格しないと「施工管理技士」の資格がもらえなかったわけですが、新制度になり、一次検定に合格した者に「施工管理技士補」の資格が与えられるようになりました。
また、一次検定をクリアした者には、二次検定受検の資格があるのですが、これに合格すれば「施工管理技士」の資格が与えられます。
旧制度の「施工管理技士」検定イメージ
旧制度では、学科試験に合格しても実地試験で不合格だった場合、次年度、もう1回、学科試験免除で実地試験に臨むことができました。
下図のように実地試験は学科合格後、次年度にもう1度しか受験できず、次年度に不合格や欠席すると次の年度に、また学科から受検する必要がありました。
一次検定合格後は二次検定受験資格が無期限有効(新制度イメージ)
令和3年からの新制度では、第一次検定に合格すれば、「施工管理技士補」の称号を得ることができます。ここが今までとの違いになります。
そして、大きいのが、第一次検定(旧制度でいう学科試験)が「無期限免除」となります。つまり1回一次検定にパスすれば、もう一次検定を受けずに何度でも二次試験を受検し続けることができるわけです。
下図はイメージになります。
下図のように「施工管理技士補」(一次検定合格者)は二次検定をパスするまで受検できます。
「施工管理技士補」を創設した背景
「施工管理技士補」創設の背景には「監理技術者」の高齢化に加え、そもそもの絶対数が足りていないことが挙げられます。
これまでの旧制度では、1級施工管理技士試験に合格した後、監理技術者講習を受講した者を監理技術者として現場ごと専任配置する必要がありました。
これは、ほかの現場との兼任は認められなかったため、会社によっては仕事をこなしたくても、断らなくてはいけないケースもあり、現場では技術者配置が問題となってきました。
しかし、この施工管理技士補の新設によって、施工管理技士補を専任の技術者として配置することで、監理技術者が2つの工事現場を兼任(兼務)することが可能となったわけです。
これら、技術者配置や、その技術者が高齢化しリタイヤするなどの技術者不足問題の解決策の1つとして、試験制度を緩和し、絶対数を確保する方策をとったわけです。また、若いうちに一次検定だけでも合格してもらおうという意図が見えてきます。
1級電気工事施工管理技士の実務経験年数
区分 | 学歴または資格 | 実務経験年数指定学科 | 実務経験年数指定学科以外 | |
---|---|---|---|---|
イ | 大学卒業者、または専門学校を卒業し「高度専門士」の称号を持つ方 | 卒業後3年以上 | 卒業後4年6か月以上 | |
短期大学や高等専門学校を卒業した者、または専門学校を卒業し「専門士」の称号を持つ方 | 卒業後5年以上 | 卒業後7年6か月以上 | ||
高等学校、専門学校の専門課程 | 卒業後10年以上 | 卒業後11年6か月以上 | ||
その他 | 15年以上 | |||
ロ | 第一種、第二種または第三種電気主任技術免状の交付を受けた方 | 通算6年以上 | ||
ハ | 第一種電気工事士免状の交付を受けた方 | 不問 | ||
ニ | 2級電気工事施工管理技術検定第二次検定合格者(令和2年度までは実地試験) | 合格後5年以上 | ||
2級電気工事施工管理技術検定第二次検定合格後、5年未満の方(令和2年度までは実地試験) | 学歴が短期大学または5年制高等専門学校、専門士 | イの区分参照 | 卒業後9年以上 | |
学歴が高等学校または専門学校の専門課程 | 卒業後9年以上 | 卒業後10年6か月以上 | ||
上記以外の方 | 14年以上 | |||
ホ | 2級電気工事施工管理技術検定第二次検定合格者(※第一次検定のみ受験可能) 令和2年度までは実地試験 | 不問 |
第二次検定の受験資格は下記のいずれかをクリアーした者が対象です。
No | 第二次検定(実地)の受験資格 |
---|---|
1 | 本年度第一次検定の合格者 |
2 | 第一次検定免除者 [a]前年度の第一次検定(令和2年度までは学科試験)のみの合格者 [b]技術士法による技術士の第二次試験のうちで技術部門を電気電子部門、建設部門または総合技術監理部門(選択科目が電気電子部門または建設部門)に合格した者で、なおかつ1級電気工事施工管理技術検定第一次検定の受検資格(上記表の各受験資格)を有する者 |
新制度合格基準について
新制度の合格基準について見ていきましょう。
1級電気施工管理技術検定合格基準
まず、一次検定全体の問題数は90問出題されます。このうち、60問を選択解答することになります。合格には全体で60%の正解が必要ですが、その中で、施工管理法(応用能力)、つまり問58~問63の得点を50%取得する必要があります。つまり、6問ですから3問以上は正解する必要があります。
1級電気工事施工管理技士の出題問題と配点
同様に、二次検定の合格にも60%の正解が必要になります。
1級電気工事施工管理技士合格率推移
では、1級電気工事施工管理技士合格率の推移を確認してみます。
1級電気工事施工管理技士合格率の推移
下表のように、ほかの1級施工管理技士資格の合格率と比較すると、かなり合格率は高いです。しかも新制度開始年度の令和3年度においても、その傾向は変わりませんでした。
一次・二次とも若干の試験形式が変わった部分はありました。特に大きいのは二次試験は毎回、ネットワーク工程表の出題がありましたが、これが計算問題になりました。電験を取得されている人は難なくクリアできますが、びっくりされた方がほとんどと推測できます。
1級電気工事施工管理技士の今後の出題傾向について
まだ、新制度試験は令和3年の1年だけなので、データとして母数が少なすぎます。しかし、令和3年に一部内容を変更し、令和4年度以降、また内容変更すると受験生には混乱が生じるので、令和3年の出題傾向を受け継ぐと考えています。
受験生は、これまでの令和2年度の試験問題をベースに勉強し、新たな傾向である令和3年度の問題をしっかり復習する必要があります。
傾向をしっかりと把握し、合格をたどり寄せてください!
これからも役に立つ記事を書いていきます。よろしくお願いします。