回路計(テスター)でできること・回路計の特徴
回路計の問題は一般問題、配線図問題がありますが、両方で頻出するので、しっかりと理解することが必要になります。特に特徴については必ず押さえておきましょう。
回路計でできること
まずは、下をご覧ください。回路計(テスター)の拡大した部分を見てみましょう。
真ん中の円形の部分をロータリースイッチといいますが、そこに「DC A」「DC V」「AC V」「Ω」と記載があります。
これらについて測定することができます。一つずつ紐解いていきます。※アナログタイプのテスターです。
DC A:直流電流
蓄電池・制御回路(DC)・太陽光発電などの直流回路の電流を測定することができます。
DC V:直流電圧
蓄電池・制御回路(DC)・太陽光発電などの直流電源の電圧を測定することができます。
AC V:交流電圧
商用電源などにつながる系統などの交流電圧を測定することができます。
Ω:抵抗・導通
写真はアナログ式ですが、アナログ式では一般に専用の導通モードがありませんので、抵抗モードを使用します。
下の写真は、デジタル式ですが、デジタル式ではこのように導通モードがあります。
はい、これ大事!
測定できる対象は
①交・直電圧
②導通・抵抗
このほかに直流電流を測定できます。
なぜ導通≒抵抗なのか?
まず、テスターの被測定物に充てる部分をプローブとかテストリード言ったりします。
この写真の部分ですね。
では、本題に入っていきます。
抵抗値測定モード(プローブを離した状態)
「抵抗モード」に設定し、テスターのプローブを接触させない状態ではプローブ間には空気の絶縁が存在します。
つまり、絶縁抵抗のページで勉強したように大きな抵抗を持っていることになります。イメージとしたら上の赤い抵抗があるような状態です。(=抵抗大)
抵抗値測定モード(プローブを接触した状態)
次に「抵抗モード」でプローブ同士を接触させる、つまり短絡させると当然抵抗は限りなく0Ωに近づきます。この0Ωが導通状態を示すわけです。※導通とは電気的につながることを言います。
プローブが接触した状態では、測定器内の電池によって電流が矢印のように流れます。この状態を導通状態といいます。イメージできましたか?
抵抗値≒導通チェック
ここではプローブ同士を接触させるのではなく、導通があるかどうか、赤い非測定物にプローブを当てます。当然つながっていれば抵抗値は0Ωに近い値がでます。
つまり、ケーブルなどが断線していない限り導通します。断線しているということはプローブを離している状態に近いということです。つまり、抵抗値は大きくなります。
だから、抵抗≒導通が成立するのです。
導通試験の目的
- 配線の未接続(導通しない)を発見することができます。
- 断線(導通しない)を発見することができます。
- 導通を確認することで接続の間違いなども確認することができます。
はい、これ大事!
導通試験では
①未接続(そもそも接続を忘れた)
②断線(接続はしたが何らかの理由で導通しない)
③接続間違え(接続をしたつもりだがつなぎ間違え)
を確認できます。
試験で問われる回路計の特徴
・ディジタル式・アナログ式とも電源として電池が必要です。
・回路計で測定できるものは交流電圧、直流電圧、回路抵抗などです。※引っ掛けで充電の有無と出題されますが充電の有無を確認するのは検電器!絶縁抵抗や漏れ電流も測定できません。
・交流または直流電圧を測定する場合には、あらかじめ想定される値の直近上位のレンジを選定します。例えば下の写真で、交流電圧測定時に200Vを想定するなら、その上の300Vにレンジを選定します。レンジより大きな値を測定するとレンジオーバーし測定できないからです。
・抵抗測定の場合の回路計の端子における出力電圧は直流電圧です。
測定前に実施すること
・回路計の電池容量が正常であることを確認します。
・抵抗測定レンジに切り換えます。その時、被測定物の概略値が想定される場合には、測定レンジの倍率を適正なものに合わせます。
・赤と黒のプローブ(テストリード)を短絡し、指針が0Ωになるよう調整します。
・最後に被測定物に赤と黒のプローブ(テストリード)を接触させてし、その時の指示値を読みます。
第二種電気工事士学科試験の過去問:回路計と導通試験
イ:回路計の電池容量が正常であることを確認します。正常でないと、ちゃんとした測定結果を示しません。
ロ:抵抗測定レンジに切り換えます。被測定物の概略値が想定される場合には、測定レンジの倍率を適正なものに合わせます。
ハ:赤と黒のプローブ(テストリード)を短絡し、指針が0Ωになるよう調整します。開放したら0Ωにはならないので誤った記述です。
ニ:被測定物に赤と黒のプローブ(テストリード)を接触させてし、その時の指示値を読みます。
イ:前問同様、被測定物の概略値が想定される場合には、測定レンジの倍率を適正なものに合わせます。 正しい記述になります。
ロ:抵抗を測定する場合の測定器出力端子には直流電圧が発生します。 交流電圧は誤りです。
ハ:デジタル式もアナログ式もいずれも電池を必要とします。 誤った記述です。
ニ:電路と大地間との抵抗測定を行った。その測定値は電路の絶縁抵抗値として使用してもよいとありますがですが、誤りです。電路と大地間の絶縁抵抗値は、絶縁抵抗計(メガー)を使用します。
イ:これは検電器などを用います。 誤りです。
ロ:これは導通を図る目的の1つです。 正しい記述です。
ハ:これも導通を図る目的の1つです。 正しい記述です。
ニ:これも導通を図る目的の1つです。 正しい記述です。
本項のまとめ
この項で重要なのは下記の通りです。
①回路計では何が測定できるのか ②回路計の特徴 ③導通試験の目的
です。よく理解しておきましょう。
本日は以上になります。