配管の中を流れる流体には、高温のものや低温のものがあります。それら流体が高温で、直接触れることで火傷したり、低温で空気と接触し結露したりすると人や周囲に影響を与えることになります。 これらを防止するために、配管には保温を行います。今回はそんな保温について勉強します。
2級管工事施工管理技士二次講座:保温の施工
各種保温に関する知識について勉強します。
保温の支持
保温の支持には以下のような注意事項があります。
① 冷温水配管の吊りバンド等の支持部には、防湿加工を施した木製または、合成樹脂製の支持受けを使用する。これは結露水を配管下に滴下させないための方策ですね。
② 冷温水配管を鋼製の吊り金物で直接支持するときは、保温外面より150mm程度まで吊り棒に保温を施す。
図:支持受けを使用する場合
図:直接支持する場合
③ 蒸気管など伸縮の大きい管を支持する場合の保温は、伸縮量を考慮して保温材の下部をローラーから30~50mm程度、円周の約\(\frac{1}{4}\)程度切り取って取付けます。
図:ローラーサポート部の保温
2級管工事施工管理技士 二次過去問に挑戦! 保温工事関連編
では、保温関連の実際に出題された問題を解いていきます。
1.設問1 冷温水配管の保温
下図において、適切なものには○、適切でないものには×を記入し、×とした場合には、改善策を記述しなさい。
解答:×
この絵では、吊りバンドと冷温水配管が直接接触しています。これでは金属の吊りバンドに冷気が伝わり結露を招きます。その結果、金属部が腐食してしまうため合成樹脂製の支持受けなどを使用し直接接触させない工法で施工することが必要になります。
または、保温の上から吊る場合、保温外面より150mm程度の長さまで長さ20mm程度の保温を行うことで結露防止をすることができます。
2.設問2 冷温水配管の保温
下図について、適当なものには○、適当でないものには×を記入し×とした場合には、その理由又は改善策を記述しなさい。
答え:×
床貫通部の冷温水管施工においては、保温材は切らずに鋼製スリーブを使用します。床貫通部で保温が不十分になると、貫通部で結露が発生する恐れがあるからです。床貫通孔が小さすぎるので、保温材を巻いた状態の管径以上を確保する必要があります。その後、貫通部の隙間はモルタルや断熱材を充填することで結露が防止できます。
3.設問3 冷温水配管の保温
下図において、適当なものには○、適当でないものには×を記入し、×とした場合には、理由又は改善策を記述しなさい。
答え:×
- 横走り冷媒管が防火区画を貫通する場合、冷媒配管は厚さ3mm以上の亜鉛めっき鋼板で保温する。鋼板内の空洞部は石膏ボード目地材、耐熱シール材を詰めて空洞を無くすことが重要です。
- 横走り冷媒配管の吊り支持金具は、冷媒配管を断熱粘着テープ2層巻きとします。または、冷媒配管を幅200mm以上の保護プレートに載せて支持金具を用います。
- 防火区画の貫通部に使用する保温材として、ポリエチレンフォームは使用不可です。使用温度は70℃以下のときに使用できます。
4.設問4 配管材料の名称
下図に示す図について、使用される配管材料名を記述しなさい。
答え: ステンレス鋼または銅管
※配管外周に絶縁材を巻いてあります。これは鋼製吊りバンドと異なる材質を配管に使用していることを意味します。
例えばステンレス鋼を鋼製の吊り金具で支持固定すると、異種金属が接触することとなりガルバニック腐食(電蝕)を生じることになります。
5.設問5 配管材料の名称
下図に示す機材について、その目的を記述しなさい。
答え:鋼製のUバンドは配管内の流体温度及び周囲露点温度によって結露を生じる可能性があります。それに伴い、錆が生じるため、これを防止する必要があります。よって、上図のように断熱効果のある合成樹脂の支持受けを入れることで発錆を防止します。
6.設問6 配管支持
下図において、適切なものには○、適切でないものには×を記入し、×とした場合には、改善策を記述しなさい。
答え:
配管を共吊りしており、荷重が上の管に掛かり不適当となります。上の配管が撓み(たわみ)、管内を流れる流体の流れを妨げます。 最悪の場合、配管の破断に至ることもあります。
改善策として、下の給水管の支持は、直接スラブから取ることで荷重を上の配管にかけないで済みます。
今回は以上です!
では!