海外では水道をひねって出てくる水ですら飲むことはできないという国も少なくありません。 そういった意味では日本の水道水は衛生的で安心であるということです。 それら供給設備など水道インフラを衛生的且つ、供給信頼性を確保するためにも、やはり技術的、法的規制を守り必要があるわけです。
給水装置工事主任技術者
今日はその水道インフラのキモであえる給水装置工事の指導的立場を担う「給水装置工事主任技術者」資格について記述していきたいと思います。
では、しばしお付き合いください!
給水装置工事主任技術者とは
給水装置工事主任技術者資格は厚生労働省管轄の国家資格です。 給水装置工事主任技術者は給水設備工事の施工をするために必要な資格です。 水道工事は人の口に入る水を供給するための工事で非常に重要な設備です。
供給設備は公共インフラのため発注者はほとんどが市町村等など自治体になります。 よって、これら水道事業者から指定給水装置工事事業者の指定を受けるために必要な資格がこの給水装置工事主任技術者資格となることを覚えておきましょう。
安全で衛生的な水を届けるため、給水装置工事の全体の管理・検査確認など
指導的立場になるための資格ですね。
指定給水装置工事事業者制度とは
指定給水装置工事事業者制度は、給水装置工事により設置された給水装置が、構造材質基準に適合することを確保するため、水道事業者が、その給水区域において給水装置工事を適正に施工することができると認められる者の指定をすることのできる制度のことです。(水道法第16条の2)
要するに、「給水装置工事を適正に施工できますよ」とお墨付きをもらった工事事業者のことですね。
また、水道事業者による指定給水装置工事事業者の指定の基準は、水道法で全国一律に定められています。(水道法第25条の3第1項)
給水装置工事主任技術者になるには
年1回、例年10月下旬に実施される、給水装置工事主任技術者試験(国家試験)に合格したのち、交付申請し、厚生労働大臣より給水装置工事主任技術者免状交付を受けることで給水装置工事主任技術者になることができます。
受験資格は?
給水装置工事に関して3年以上の技術上の実務の経験を有する者は受験することができます。
実務経験は給水装置の設置または変更の工事に係る技術上の実務に従事した経験のほか、これらの技術を取得するためにした見習いその他給水装置工事現場における技術的経験も含まれます。 ちなみに給水装置の定義は下の図でご確認ください。 配水管からの取り出しから宅内給水用具までの範囲をいいます。
もう少し詳しく受験資格を知りたいです。
実務経験に該当する業務
給水装置工事に関して3年以上の技術上の実務の経験を有する者と書きましたが、実際に実務経験とはどのようなものかを見ていきましょう。
給水装置とは、水道事業者の配水管から分岐して設けられる給水管と、それに直結して設けられる給水用具をいいます。また、給水装置工事とは、給水装置の設置(新設)または変更(改造、修繕、撤去)の工事をいいます。 具体的には、次の給水装置工事の職務に従事した経験が該当し、これらの職務に従事するための技術を習得する見習期間中の技術的な経験も含まれます。
ポイントは2つ。
1.配水管から給水用具までの給水装置の新設・リニューアル・撤去工事OK
2.バリバリ工事に従事した期間だけでなく見習い期間も実務経験としてOK
では、次に具体的な実務経験例を見ていきます。
- 公道に埋設された水道本管(配水管)から分岐され、有圧である蛇口までの給水管の配管作業または水道事業者との調整、現場監督の業務
- 建物等内外の給水用具(給水栓、湯沸器、ボールタップ、洗浄装置付便座等)における配管・取付け作業、または水道事業者との調整、現場監督の業務
- 給水管、給水用具の配管・取付け工事にかかる計画・設計(現場調査、配管計画、水理計算、口径や材料選定、申請図の作成)の業務
- 水道事業者等から委託されたメータ(量水器)の新設・取替作業の業務(検針業務は含まない)
- 水道事業者またはその支援事業者(第 3 セクター)が行う給水装置工事の審査及び完了検査業務等の業務
実務経験に該当しない業務
以下は実務経験に該当しないため注意が必要です。
- 工事現場への物品の搬入等の単なる雑務及び事務の仕事に関する業務
- メータ(量水器)検針のみの業務
- 浄水場や配水池等の給水装置ではない「水道施設」の建設工事の業務
- 水道施設の維持管理業務
試験について(申込み時期から合格発表まで) 令和3年度を参考に
試験申し込み時期は例年5月末受付開始となります。 申し込み期限は意外と長く7月上旬までです。 長いからと言って1年に1回の試験ですので、失念することがないように注意をしてくださいね。
試験日は例年10月末になります。 施工管理技士など他の試験と同じような時期になりますので取得計画を立て受験するようにしましょう。
待ちに待った合格発表ですが例年11月末と意外と早いです。 マークシートの試験ですので早いのかなと思います。
給水装置工事主任技術者になると何ができる?
給水装置工事主任技術者の職務
- 給水装置工事に関する技術上の管理を行います。
- 給水装置工事に従事する者の技術上の指導監督を行います。
- 給水装置工事に係る給水装置の構造及び材質が水道法第16条の規定に基づく政令で定める基準適合している事の確認を行います。
- その他厚生労働省令で定める職務(水道法第25条の4の3項)を行います。
- 水道事業者との給水装置工事に関する連絡調整を担うこともあります。
給水装置工事主任技術者の難易度と合格ライン
技術系国家資格のランクで考え、技術士や電験をSクラス。 エネルギー管理士や特級ボイラー技士などをAクラス。 甲種ガス主任技術者などをBクラスと定義すると『給水装置工事』はCクラスというところでしょうか。
給水装置工事主任技術者試験の合格率は、概ね28%から45%の間ですがが合否基準をクリアすることが重要となります。 しかも試験科目数が多く試験範囲が広いというところに注意してください。
合格ラインですが全科目受験者においては必須6科目(公衆衛生概論、水道行政、給水装置工事法、給水装置の構造及び性能、給水装置計画論、給水装置工事事務論)の得点の合計が27点以上であること。
全8科目の総得点が、40点以上であること。 これがトータルして取るべき点数(科目免除者は非適用となります)
各科目の得点が下記足切り点以上であること。
- 公衆衛生概論:1点
- 水道行政:2点
- 給水装置工事法:4点
- 給水装置の構造及び性能:4点
- 水装置計画論:2点
- 給水装置工事事務論:2点
- 給水装置の概要 5点
- 給水装置施工管理法:2点
足切りをクリアしつつ全体で40点、必須6科目で27点取ることが合格ラインとなるので満遍なく勉強を重ねることに留意してください!
本日は以上です!
次回は試験をクローズアップします。