電気工事士法でも規定されているように、電気工事士は、電気工事の欠陥による災害の発生の防止に努める必要があります。絶縁抵抗や接地抵抗の不備は火災・感電事故に直結します。そのため電気工事士となる人には重要な勉強項目となります。本項ではまず、絶縁抵抗について勉強していきます。
絶縁抵抗の基本事項はこちらでご確認ください。
第二種電気工事士学科対策:低圧電路における絶縁抵抗値
絶縁抵抗値とは、電流の流れにくさを数字で表したものです。この絶縁抵抗が大きければ大きいほど電流がながれにくいことになります。電工2種においては、電線など電路と対地間、電線同士などの絶縁抵抗の出題がされますが、この絶縁を保つためにケーブルなどには絶縁被覆で覆っています。しかし、その絶縁物はときと共に劣化をします。これを絶縁劣化といい、これが進行すると漏電という現象が起こります。これらを傾向監視するためなどに絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗計を使用したり、規定値を満足しているかどうか測定値を比較したりします。
下表は使用電圧及び対地電圧別の絶縁抵抗値の規定値です。
絶縁抵抗値の規定値
単相3線式電路の例
例えば、使用電圧が単相3線式電路の100V回路に求められる絶縁抵抗値はいくらでしょうか。
単相3線式回路は、下図のように対地電圧は100Vです。つまり、表1のうち、使用電圧は300V以下で対地電圧150V以下であるため絶縁抵抗値は0.1MΩ以上となります。
三相3線式電路の例
同様に三相3線式電路の場合はどうでしょうか。対地電圧は200Vなので、使用電圧200Vで対地電圧200Vとなりますので、表1の真ん中、絶縁抵抗値は0.2MΩ以上となります。
これらをわかりやすくまとめると下表のようになります。
電工2種の学習範囲では、単相100/200Vと三相200Vだけですから、上2つが最も重要です。絶縁抵抗値の覚え方は上から0.1MΩ以上→0.2MΩ以上→0.4MΩ以上と2倍ずつ増えます。
この表はよく覚えておきましょう。
はい、これ大事!
単相3線式100/200V(対地電圧100V)ならば0.1MΩ以上
三相200V(対地電圧200V)ならば0.2MΩ以上
使用電圧300V超なら0.4MΩ以上
絶縁抵抗の測定
使用電圧及び対地電圧の区別による絶縁抵抗値は前項で勉強しました。では次に、その絶縁抵抗はどのように測定するのでしょうか。
絶縁抵抗計(メガー)
絶縁抵抗計は電池式です。
注意点は下記の通りです。
- これから絶縁抵抗測定を測定しようとする被測定回路の電源をOFFにしたか確認します。(充電状態での測定は危険です)
- 電池残量は測定できる容量があるか確認します。
- 電子機器がつながる回路など機器を損傷しないよう、適正な電圧レンジを設定します。
- 測定前には接地端子(E)と線路端子(L)を短絡しゼロチェック(零点確認)を行う。
第二種電気工事士学科試験の過去問:絶縁抵抗
絶縁抵抗値の設問については使用電圧による数値及び絶縁抵抗器(メガー)の問題が主に出題されます。まずは最近の問題について解いていきましょう。
設問1:絶縁抵抗値の最低値
はい、これ大事!を思い出してください。
単相3線式100/200V(対地電圧100V)ならば0.1MΩ以上
三相200V(対地電圧200V)ならば0.2MΩ以上
使用電圧300V超なら0.4MΩ以上
この表の覚え方ですが、絶縁抵抗値は2倍ずつすればよかったですね。
答えをイから二まで見ていくと、(A)×2=(B)、(B)×2=(C)担っているのはロだけです。答えはロになります。
設問2:単相3線式の絶縁抵抗値
はい、これ大事!を思い出してください。
単相3線式100/200V(対地電圧100V)ならば0.1MΩ以上です。電路と対地間とは下図のようなこと。
対地電圧は150Vですので、問答無用で絶縁抵抗は0.1MΩ
一方、電線相互間とは下図の通りです。
単相三線式に変わりはないので、当然対地電圧は150V。よって絶縁抵抗は問答無用で0.1MΩ。
よって答えはハになります。
設問3:単相3線式の絶縁抵抗値
この問いは絶縁抵抗計の使用方法に関する問題です。何度も繰り返し出題されているので、よく覚えておいてくださいね。
イ:下の絵のようにアナログ式もデジタル式も、もちろんあります。正解です。
ロ:絶縁抵抗計にかかわらず、測定器で測定する前には、正しい値を指し示すように電池残量を確認しておきます。正解です。
ハ:絶縁抵抗計の内部構造は簡単に描くと、下図のようになります。
電池で稼動させるため、直流が発生します。しかし交流に変換するインバータは内蔵していません。直流をそのまま接地側に電圧を加え(印加)ます。よって出力電圧は直流になり、ハが誤りとなります。
二:絶縁抵抗計の定格測定電圧は機種にもよりますが、125V、250V、500Vなどがあります。基本、電路で普段使用する電圧の直近上位のレンジを選択します。普段使用する電圧より過大な電圧レンジを選択すると、測定する回路につながる精密な電子機器などは最悪、損傷してしまいます。正しい記述です。
設問4:単相3線式の絶縁抵抗値
この問いも設問3に似た問いです。
イ:下の絵のようにアナログ式もデジタル式も、もちろんあります。正解です。
ロ:絶縁抵抗計にかかわらず、測定器で測定する前には、正しい値を指し示すように電池残量を確認しておきます。正解です。
ハ:絶縁抵抗計の内部構造は簡単に描くと、下図のようになります。
電池で稼動させるため、直流が発生します。しかし交流に変換するインバータは内蔵していません。直流をそのまま接地側に電圧を加え(印加)ます。よって出力電圧は直流になり、ハが誤りとなります。
二:絶縁抵抗計の定格測定電圧は機種にもよりますが、125V、250V、500Vなどがあります。基本、電路で普段使用する電圧の直近上位のレンジを選択します。普段使用する電圧より過大な電圧レンジを選択すると、測定する回路につながる精密な電子機器などは最悪、損傷してしまいます。正しい記述です。
本項は以上になります!