第二種電気工事士と第一種電気工事士の違い
第二種電気工事士資格と第一種電気工事資格についていろいろな側面より比較していきます。
施工できる区分範囲の違い
電気工事士資格には、第二種電気工事士と第一種電気工事士の2種類の資格があります。
区分は下表のとおりです。
第二種電気工事士 | 一般住宅や店舗など600V以下で受電する設備の工事に従事できます。 |
第一種電気工事士 | 第二種の範囲と最大500kW未満の工場、ビルなどの工事に従事できます。 |
上の表のように第一種電気工事士は事業用電気工作物にあっては、最大電力500kW未満の需要設備の電気工事に従事することができます。
一方、第二種電気工事士は、一般住宅や小規模な店舗、事業所などのように、電力会社から低圧(600V以下)で受電する場所の配線や電気使用設備など、一般用電気工作物といわれる電気工事の電気工事に従事することができます。
試験内容の違い(学科試験)
電工2種に合格したら、次に挑戦したいのは第一種電気工事士(電工1種)になります。 低圧が主戦場である電工2種に対して高圧が主戦場となる電工1種はほぼ、違う試験とも言えます。
例として鑑別問題を見てみます。
第二種電気工事士の学科例
第一種電気工事士の学科例
電工2種は家庭や現場で見ることができる機器類ですのでとっつきやすいですが、電工1種ではキュービクル内などでしか見ることがない高圧機器類などが出題されるため、難易度としては高いといいうことが言えます。
図面の一部抜粋ですが電工2種の配線図は以下のようなものです。
たたみ部屋などがあり、ほぼ個人宅の延長です。
次に電工1種の配線図です。
まったくイメージが違いますよね。 低圧屋内配線だけに携わるなら必要ないですが、高圧受電設備工事を行うならば絶対に電工1種が必要になります。
試験内容の違い(技能試験)
第二種電気工事士の公表問題抜粋
この公表問題では照明機器とスイッチ回路が主な回路構成となっていますが、このほか、コンセントやPF管、自動点滅器代用品などの問いがあります。 いずれにしても内容は低圧屋内配線工事の域を出ることはありません。
公表問題は13種類あります。 課題の製作時間は40分ですが、配線間違いなどの修正などをしていると完成しない。なんてことも得ますので事前の練習が重要になります。
第一種電気工事士の公表問題抜粋
第一種電気工事士の技能試験は変圧器二次側の配線をイメージした内容が主な課題となります。 端子台を変圧器に見立て、その二次側から負荷側までの配線をします。 この部分は二種に通じるものがあります。 しかし高圧側の配線は電工二種では使用しないKIP8sqなどを使用するため注意が必要です。 さらに電磁接触器(マグネットスイッチ)が課題内にでるので制御回路の配線も出題され、電工2種とは明らかに求められている技能が違うことにも注意が必要です。 そういった意味では、電工1種と2種では別の試験ということも言えます。 電工2種で基本を習得し、そこに高圧電気設備の知識を上積みする必要があります。
第二種電気工事士の合格率
第二種電気工事士の試験は筆記試験と技能試験の2つに分かれています。 詳細は下図をご覧ください。 筆記試験合格率は概ね毎回50から60%程度となっています。 技能試験は概ね60から70%程度です。 第二種電気工事士の試験は過去問を踏襲することから比較的合格率は高いということが言えます。 独学でも過去問を攻略することで合格できる資格です。
※本データは12月26日現在のものであるため、R3下期技能試験が終了直後となりデータは入力されておりません。
第一種電気工事士の合格率
次に電工1種の学科試験合格率ですが概ね40から50%程度です。 問題数が多い試験ですので苦手があっても最悪、ほかでカバーできると考えるといいでしょう。
技能試験は公表問題の課題製作時間ですが電工2種より難易度も高いため60分と設定されています。 それでも不合格者の多くは課題が未完成ということからも、練習不足で試験を迎えるという状況が推測できます。 技能試験の合格率は毎年、概ね60から70%程度です。 使用電線にKIPを使用したり制御回路が出題されたりと電工2種ではない部分もあるため、試験前に十分な勉強時間を設ける必要があります。
電工一種と電工二種の同時受験は可能なのか?
特に電気工事の経験が豊富な方、私のように資格マニアの方(笑)の中には、「えぇ~い、面倒だから今年、いっぺんに受験してしまおう!」なんて考えている方もいるでしょう。 では同時受験が可能かどうかを見ていきましょう。
試験日程
上の図は令和4年度(2022年度)の試験スケジュールです。
電工1種は筆記試験10月2日 技能試験は12月11日ですね。
一方、電工2種は上期と下期がありますが、下期は筆記試験が10月30日、技能試験が12月24日か25日の指定された日です。
電工1種と試験日が近いことがネックになります。
このサイトでは電工1種、電工2種同時受験、同時合格を目指すため電工2種上期→電工1種の順に受験することをおススメします。
でも、本当は電工2種を取得したのちに電工1種受験することが無理なく勉強できるためおススメですよ(笑)
注意点ですが、電工1種試験に合格しても免状を交付されるには条件を満たす必要があります。
第一種電気工事士の免状取得条件
- 実務経験が5年以上必要となります。
- 電気科・電気工事科の大学・専門学校を卒業して、実務経験が3年以上必要となります。
この条件を満たすことで免状が交付されます。 合格しておいて、所定の実務経験を重ねたのち、免状の交付を受ける方が多いですね。
電気工事士免状は転職などに活かしていきたい方、実務で必要な方がいると思います。 いずれにしましても着実に合格していきましょう!