漏電遮断器、よく耳にするようになりましたが、人に聞かれ、内容を説明までできる人は少ないのではないでしょうか。
漏電は火災や感電事故を防止するうえで、とても重要な機器です。ここでよく覚えてしまいましょう。
第二種電気工事士として覚えておくべき漏電遮断器の知識
漏電遮断器の問題は一般問題、配線図のいずれでも、よく出題されます。漏電遮断器を言葉で覚えるのではなくメカニズムをイメージで覚えましょう。
漏電遮断器の施設条件
金属製外箱に収められ、使用電圧が60Vを超える低圧の電気機器の電路には、電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断するための漏電遮断器を施設しなければなりません。
金属箱は電気を通すから感電しやすいよ。
だから地絡したら自動で遮断できる
漏電遮断器が必要なんだね。
漏電遮断器のメカニズム
まずは、下の図を見てください。漏電遮断器を施設した電路をイメージしています。漏電遮断器内部には零相変流器、別名ZCTが内部に組み込まれています。このZCTは簡単に言えば行きと帰りの電流を監視していると思ってください。
上の状態の場合、行きの電流は5A、戻りの電流も5Aです。もちろん、行き戻りの電流は同じなので漏電していないことがわかると思います。
ちなみに地面との間と電路間は、いつも絶縁されていなければなりません。
次に漏電状態を下の図で確認します。ZCTの行きは5Aですが、今度は戻りが4Aと1A減っています。ZCTはこの差を見ています。つまり戻りが行きより少ない=漏電ということがわかるわけです。
この漏電を検知すると自動的に遮断するのが漏電遮断器なのです。
電気回路と地面が電気的につながることを漏電と
いい、その時に流れる電流を地絡電流というよ。
漏電遮断器の設置を省略できる条件
漏電遮断器の施設は火災の防止、感電防止に必要な機器というのはわかりました。なのに、省略できるってなんか不思議ですよね。
どんなときに省略できるのか、しっかり覚えておきましょう。なぜなら、そういうところを突いてくるのが試験だからです。
基本的には!省略条件は漏電による火災・感電の恐れが少ないと判断できる場合にのみ省略できます。
では実際に省略条件を確認します。
漏電遮断器の省略
・機械器具に簡易接触防護措置を施す場合 →簡単には触れないようにしているってこと!
・機械器具を乾燥した場所に施設する場合 →感電しにくいよ!
・対地電圧が150V以下の機械器具を水気のある場所以外の場所に施設する場合 →ややこしい文章だけど要は「水気のある場所以外の場所」って水気のない場所!だから感電しにくいよ!
・電気用品安全法の適用を受ける二重絶縁構造の機械器具を施設する場合 →二重絶縁構造とは絶縁が1つ破壊されても、大丈夫!もう1こあるから!ってこと。
・機械器具に施されたC種接地工事またはD種接地工事の接地抵抗値が3Ω以下の場合 →接地抵抗値3Ωって、すごく小さいよ!だから感電するより先に大地に流れるから安全ってこと!詳しくはこちら
・機械器具がゴム、合成樹脂その他の絶縁物で被覆したものである場合 →絶縁されていれば触れても安心!
・機械器具内に電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器を取り付け、かつ、電源引出部が損傷を受けるおそれがないように施設する場合 →電路に漏電遮断器がなくても、内部にあれば、そちらが落ちてくれるから安心!
第二種電気工事士学科試験の過去問
零相変流器の役割
この項の漏電遮断器のメカニズムで勉強した通り、零相変流器とは電流の往復を監視しています。その差がすなわち、漏電というわけです。
漏電、つまり地絡電流を検出しているのでニが正しい記述になります。
漏電遮断器の機能
最近の傾向として、この問題に似たものが出題されます。この問題を解きながら、ここで覚えてしまいましょう。
イ:動作時間が0.1秒以下(以内)のものを高速形といいます。 正しい記述です。
ロ:前問より、正しい記述になります。
ハ:定格感度電流が30mA以下のものを高感度形といいます。記述では1000mA以下とあるので誤った記述です。
ニ:漏電遮断器には、その遮断機能が正しく動作するか否かを確認するため下の写真のようなテストボタンが実装されています。 正しい記述になります。
以上よりハが解答です。
本項は以上になります。 特徴をよく覚えておいてください。