第二種電気工事士試験(学科) 特殊な場所での工事
メタルラス張り壁などを貫通するケーブルの措置
現在はなかなか見かけなくなりましたが、昔は木造住宅などの壁にモルタルを塗るために、モルタルの接着強度を増すため、モルタルと木の間にメタルラス・ワイヤラスといった金属を張っていました。いまでも少しはあるようですが、、、
当然、ケーブルだけを下の写真のような金属のメッシュ内を通すと被覆など破ける可能性が高くなります。よっていろいろな措置を施す必要がでます。
そういった部分が試験では問われます。
ラス張りでケーブルを傷つけないための措置
- メタルラスなどと、金属製配管・ダクトなどは電気的に接続しないように施設する。
- 金属製配管・ダクトまたはケーブルなどがメタルラスなどを貫通する場合は、貫通する部分のメタルラスなどを十分に切り開き、かつ、金属製の管やダクト、またはケーブルなどは耐久性のある絶縁管で防護する。
まずは、何の措置もしない状況を確認します。何もしないというのは、こういう状況です。メッシュ状の金属網を穴開けると「バリ」が出ている状況です。そこにケーブルを通すので、地震などでケーブルの被覆が破れても不思議ではありません。下の図は、そうしないための方策です。
ラスは大きく切り開きます。試験では「十分に切り開く」と表現されます。ところが、それだけでは不十分です。万一、十分に切り開いたラスの端部が接触しても防護できるよう、防護管にケーブルを収めることが必要です。
はい、これ大事!
メタルラス・ワイヤラスは金属なので漏電すると火災の原因になります。
そうならないための措置が必要です。
・ラスなどと金属管・金属ダクトなどは電気的に接続しない!
・ラスでケーブルに傷をつけないためラスを大きく切り開く!
・ラスでケーブルに傷をつけないため防護管で防護する!
ネオン放電灯の施設
ネオン放電灯とは看板のネオンサインに使用されます。ネオン管を点灯させるためには、通常電圧では足りないため、ネオン変圧器が用いられます。ネオン変圧器により100Vなどをネオン管を光らせるため、昇圧して使用します。 使用電圧は5000V程度から20000Vと高い電圧になります。
当然、高電圧は危険なため、1000Vを超えるネオン放電管工事については、以下のように規定があります。
ネオン放電灯の施設規定
- 簡易接触防護措置を施すこと。
高い電圧を使用するので、容易に触れないように「簡易接触防護措置」が必要になります。
2. 放電灯用変圧器はネオン変圧器であること。
蛍光灯などの安定器などとは違い特殊なので、ネオン変圧器を使います。
3. ネオン変圧器の外箱にD種接地工事を施すこと。
二次電圧は昇圧され高い電圧ですが、一次側印加電圧は100Vや200VですのでD種でOK
4. 管灯回路(放電灯用安定器からランプまでの回路配線をいいます)は展開した場所、または点検できる隠ぺい場所に施設する。
点検ができない場所への敷設はNG! だから展開した場所または隠ぺいされていても点検ができる場所でないとNG
5. 管灯回路配線は、がいし引き配線によることとし、ネオン電線を使用する。
6. 管灯回路配線の電線支持点距離は、1m以下、かつ、電線相互間管は6cm以上とする。
特殊場所での施工方法
一般的な事業所や民家などではない、特殊用途の場所において、施工できる施工方法や施工できない施工方法について出題されるので、よく覚えておきましょう。
覚えるポイントは2つ。 爆発する場所か燃える場所か見極めることです。
では表にまとめたので、見てみましょう。
この表の上2段は爆発する危険性のある場所です。
可燃性ガス等の存在する場所とは
水素など、常温状態において期待で、空気と一定の割合で混合した場合、点火源があれば爆発するものがある場所のこと。
爆燃性粉じんのある場所とは
マグネシウムやアルミニウムなどの粉じんで、空気浮遊状態や床に堆積した状態で、着火すると爆発する恐れがあるものがある場所のこと。
可燃性粉じんの存在する場所とは
小麦粉、その他可燃性の粉じんで、空気浮遊した状態で、着火したときに爆発的に燃焼するおそれのあるものが存在する場所のこと。
危険物などが存在する場所とは
セルロイド、マッチ、石油類など燃えやすく危険なものが存在する場所のこと。
第二種電気工事士学科試験の過去問:特殊場所での工事
設問1 ラス張りの壁貫通
木造住宅の金属板張りの壁貫通とくれば
①電気的に接続してはいけません。(絶縁していることが重要)
②十分に金属板を切り開くこと。
まずは、これだけを完璧に覚えましょう。
では、選択肢を見ていきます。
イ:金属板張りを十分に切り開き→OK 合成樹脂管に収めて電気的に絶縁→OK
ロ:壁に小径の穴を開け→十分に切り開かないとNG 金属板張りと金属管を接触→漏電火災を起こします!NG
ハ:金属板張りを十分に切り開き→OK 金属製可とう電線管を壁と電気的に接続→NG
ニ:壁の金属板張りと電気的に接続された金属管→NG
適切なものを選択するので、消去法でイが正解となります。
設問2 ネオン放電灯工事
持っている知識を使い消去法で解きます。
イ:ネオン変圧器電源は専用回路と、ここで覚えちゃいましょう!→正解
ロ:ネオン変圧器は一次電圧は100Vや200Vですが、二次電圧は20000Vに達することもあります。なので点検ができる「展開された場所」もしくは「隠ぺいされた場所で点検が可能な場所」のどちらかが要求されます。→正解
ハ:管灯回路は「がいし引き工事」により「ネオン電線」にて施工します。また、その際の電線支持点距離は1m以下とします。 →誤りとなります。
ニ:ネオン変圧器外箱にはD種接地工事を施します。→正解
設問3 特殊場所とその場所で施工できる工事
イ:プロパンガス(可燃性ガス)とくれば、点火源があれば爆発!です。なので「金属管工事」か「ケーブル工事」→OK
ロ:小麦粉など可燃性粉じんとくれば、舞い上がっている状態で点火源があれば燃焼します。つまり、「金属管工事」か「ケーブル工事」または「合成樹脂管工事(CD管はダメよ!)」→OK
ハ:石油を貯蔵する危険物の存在する場所とくれば、危険物などのある場所ですから、燃えます!なので「金属管工事」か「ケーブル工事」または「合成樹脂管工事(CD管はダメよ!)」→金属線ぴ工事はNGです。。
ニ:可燃性ガスのある場所とくれば、イと同様、点火源があれば爆発!です。なので「金属管工事」か「ケーブル工事」→OK
以上より正解(不適切な解答)はハになります。
まとめ
最近の出題頻度は減っていますが、覚えておけば難しくはないので得点源になります。
ラス張りを貫通する場合の施工方法、ネオン管灯回路及び特殊場所での施工方法、これらを確実にマスターしておきましょう。