以前の記事にも書きましたが、電気工事士は、電気工事士法によって「電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、もって電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与することを目的とする」と定められています。
つまり電気工事によって、火災事故などを起こさないよう施工者に一定レベルの資質を課すために定められた資格です。 日曜大工のように素人が工事して、短絡や地絡による火災など障害の発生を防止するために、一定レベルの知識・技能を持ち合わせた者が電気工事を行うように規制しているのです。
今日はそんな電気工事士のうち第二種電気工事士、通称、電工2種を取得したらできること、また、難易度について記事を書いてみようと思います。
しばしお付き合いください。
では、どうぞ!
電気工事士資格の区分について
第二種電気工事士は、住宅や小規模店舗の照明取付や、屋内外の配線工事などの小規模電気工事を行うことができます。 第二種電気工事士が行うことが電気工事としては「一般用電気工作物」となっています。 詳しくは下図をご確認ください。
自家用電気工作物などの大規模な電気設備工事を行う場合には第一種電気工事士の資格が必要となります。 第一種電気工事士は免状の交付に実務経験年数が必要となりますが、第二種電気工事士については実務経験は必要なく、また、受験に際しても規制がないため、どなたでも受験することができるため人気の高い資格試験となっています。
※一般用電気工作物とは以下のようなものをいいます。
- 低圧で受電する電気設備
- 発電設備がある場合、小出力設備である場合(これについては、講座で説明します!)
- 構内に施設され郊外にわたる電線路がないこと
- 火薬類を製造する事業所ではないこと
電気工事士資格と電気工事士ができる作業
前項でお話ししたように、火災など障害の発生を防止するために、一定レベルの知識・技能を持ち合わせた者が電気工事を行うように規制しています。 つまり電気事故が想定されるような工事については規制の対象となります。 つまりそのような工事については電気工事士の資格を要求されます。
例として取り付けを誤ると感電災害や短絡・地絡による火災事故などに直結するような作業は電気工事士が作業することを義務付けられることになります。
また、単なる作業を行うだけでなく、法的要件事項を満足しているかなど最低限の技術基準や電気工事士法など基礎知識を持っている電気工事士が作業することを求められます。
では、実際に電気工事士でないとできない作業には、どんな作業があるのかを確認してみましょう。
電気工事士でなければできない工事には、下記が挙げられます。
規制対象:一般用電気工作物
電気工事士でなければできない作業には、次のような作業があります。
①電線相互を接続する作業
②がいしに電線を取り付ける作業
③電線を直接造営材などに取付ける作業
④電線管、線ぴ、ダクトなどに電線を収める作業
⑤配線器具を造営材などに取付け、またはこれに電線を取ける作業(露出型点滅器または露出型コンセントを取り替える作業を除く)
⑥電線管を曲げ、もしくはねじ切りし、または電線管相互もしくは電線管とボックスなどとを接続する作業
⑦ボックスを造営材などに取付ける作業
⑧電線、電線管、線ぴ、ダクトなどが造営材を貫通する部分に防護装置を取付ける作業
⑨金属製の電線管、線ぴ、ダクトなどを建造物のメタルラス張り、ワイヤラス張り、金属板張りの部分に取り付ける作業
⑩配電盤を造営材に取付ける作業
⑪接地線を電気工作物に取付け、接地線相互または接地線と接地極とを接続し、または接地極を地面に埋設する作業
⑫電圧600Vを超えて使用する電気機器に電線を接続する作業
これら作業は、第一種電気工事士、第二種電気工事士及び旧電気工事士免状を持っている者であれば作業に従事することができます。
規制対象:自家用電気工作物
自家用電気工作物(最大出力500kW未満の需要設備)ではどうでしょう。
①ネオン用として設置される分電盤、主開閉器(電源側の電線との接続部分を除く)、タイムスイッチ、点滅器、ネオン変圧器、ネオン管及びこれらの付属設備に係る電気工事。
②非常用予備発電装置として設置される原動機、発電機、配電盤(他の需要設備との電線接続部分を除く)及びこれらの付属設備に係る電気工事。
これら2つの作業を特殊電気工事といいます。 これからがややこしいのですが、この特殊電気工事を行うのに必要となる資格は”特種電気工事資格者認定証“です。
特殊電気工事で必要なのが特種電気工事資格者認定証って、、、 ややこしや
また、簡易電気工事のうち、自家用電気工作物において上記、電気工事士でなくてはできない作業のうち①から⑪に該当する工事は第一種電気工事士及び認定電気工事従事者認定証を持った者が従事できます。
※簡易電気工事とは600V以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事のこと。 但し、電線路に係る電気工事及び特殊電気工事は除かれます。
最後に特殊電気工事及び簡易電気工事以外の作業であり、且つ上記、電気工事士でなくてはできない作業のうち①から⑫に該当する工事については、第一種電気工事士でなくては従事することはできません。
一方、電気工事士以外でもできる工事を“軽微な工事”と呼びますが、この軽微な工事にはどのような作業が該当するのかを見ていきましょう。
無免許でもできる作業
えっと思うかもしれませんが無免許でもできる作業もあります。 日曜大工などでも電気工事をできる内容もあります。 それについても理解しておきましょう。
電気工事士でなくてもできる軽微な工事
電気工事士でなくてもできる工事は、次のとおりです。
①電圧600V以下で使用する差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼット、その他の接続
器または電圧600V以下で使用するナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコードまたはキャブタイヤケーブルを接続する工事
②電圧600V以下で使用する電気機器(配線器具を除く。以下同じ)または電圧600V以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。以下同じ)をねじ止めする工事
③電圧600V以下で使用する電力量計、電流制限器またはヒューズを取り付け、または取りはずす工事
④電鈴、インターホーン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(2次電圧が36ボルト以下のものに限る)の二次側の配線工事
⑤電線を支持する柱、腕木その他これらに類する工作物を設置し、又は変更する工事
⑥地中電線用の暗渠又は管を設置し、または変更する工事
電気工事だけど電気工事士等資格がなくてもできる作業
電気工事士及び特殊電気工事資格者が従事する電気工事において作業を補助する作業では資格を持っていない者も従事することができます。
まとめ
電気工事の欠陥による火災や感電災害を防止するには正しい作業や最低限の法令を遵守することが求められます。 それらを満足するために電気工事士免許が存在します。 日頃の仕事を通じ技術だけでなく法令なども身に着けておくことで正しい作業もできるようになるだけでなく、試験合格の助けにもなるでしょう。 電気事業法や電気工事士法、電気用品安全法に電気工事業の業務の適正化に関する法律の電気4法に加え、技術基準とその解釈も日ごろの現場仕事を通じて耳や目で慣れておくことで試験前に躍起になって覚えることが減るはずです。
自分が携わった物件で感電や火災を起こしたくないものですね!
では、また会いましょう!